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スタバのスリーブで作った土偶に反響、SNS発信が自己解放に「趣味を肯定できた」

秋田さんによるダンボール作品『ハウルの動く城』と遮光器土偶(@Ram_akita)
 ダンボールで様々な造形を作る、兵庫県明石市の会社員・秋田崇志(たかし)さん。先日、地元の神戸新聞にも取り上げられ、注目をあびた。秋田さんの作品の中でも、とくに印象的なのが、アニメ『ハウルの動く城』の城、スターバックスコーヒーのスリーブ(飲み物の熱さを緩和するカバー)を使った遮光器土偶など。今でこそこうして作品作りを楽しむ秋田さんだが、当初はオタク認定を恐れて「趣味をひた隠しにしていた」という。趣味を肯定するきっかけとなったSNS、そして作品への思いを聞いた。

【写真一覧】スタバのスリーブで作った“ウシアブ”がすごすぎ! 精巧な作品の数々

■土偶制作の悩みをあの模様が解決、スタバで休憩中に「アイディアが振ってきた」

――先日、神戸新聞にも取り上げられていましたが、反響はいかがでしたか?

【秋田さん】驚くほど多くの方からの反響、来訪がありました。夕刊に掲載とのことでしたので、それほどの反応は期待しておりませんでしたが、紙面の4分の1の大きさ、ネットニュースでも取り上げられたことが非常に多くのバズを生んだと思います。1日で一番多い時は20人くらいの方が、私のダンボールアートを展示している母の店に見にきてくれました。個展のお誘い、テレビの出演依頼の電話もありました。

――秋田さんの作品の中でも、『ハウルの動く城』の城、『風の谷のナウシカ』のウシアブなどが印象的でした。制作で苦労した点は?

【秋田さん】ハウルの動く城は、僕の作った中では一番時間もかかりましたし、大きな作品の一つです。ネットで調べた画像だけを頼りに制作していますが、出てくるのはほとんどが正面からの画像。城の側面や裏側、上から見た時の描写をどう作るかが難しく、自分解釈が相当入っているのも事実です。またハウルでは煙突、家、頭部のドーム、ウシアブも足が12本と、同じようなパーツを何個も作る煩わしさが結構ありました。こう見えて面倒くさがり屋なので、途中で何度も嫌になったり飽きたりして、制作がストップすることも少なくはありませんでした。

――スターバックスのパッケージを使用した作品も、秋田さんならでは。これを使おうと思ったのは?

【秋田さん】遮光式土偶を作ることがきっかけです。今でこそ、僕のお気に入りTOP3に入る作品ですが、何度も失敗だと諦めて1ヵ月ほど制作をやめていたことがありました。理由は、思ったような形にならないこと、土偶の歴史的な雰囲気、紋様が出せなかったことです。スランプと言うと大げさですが、そういう時こそアイディアは突然振ってくるもの。スタバで休憩しているときに、スリーブがダンボールと同じ素材で出来ていること、ダンボール色に緑のマークがベストマッチしていることに気づき、ひらめきました。ダンボールの表面では、土偶の古代紋様が表現しきれないことが制作をストップしていたポイントだったので、このスタバのスリーブがそれを簡単に解決してくれたことがきっかけですね。

■会社員との両立は問題なし、「頭の中で情報を整理する時間が重要」

――そもそも、秋田さんがダンボールで作品を作り始めたのは?

【秋田さん】テレビで、“ダンボール女子”こと大野萌菜美さんのダンボール製の戦車を見たことが始まりです。“やってみたい”という直感、衝動にかられたことを覚えています。まずは準備運動もかねて、自宅にあったダンボールで戦車ではなくなぜだか『ビッグマック』を作り始め、なんとなく形にすることができました。ダンボールの性質や質感が手になじんだところで、大野さんの戦車の画像を参考に独自の解釈でダンボール戦車を作りました。率直な感想は、「できるじゃん!」でした。

――作品のテーマはどのように決めますか?

【秋田さん】自分が欲しい“カタチ”を作りたい、ということですかね。特にジャンルなどはなく、食べ物、乗り物、動物、ロボット、マンホールとか作品のバリエーションは統一感ゼロです。最近ではフィギュア等で多くの造形物がありますが、その中でもまだ造形されていないものや、あるけど造形が自分の好みと合わない、手に入りにくいものなんかを自分流で“カタチ”にしています。なので、いつも思いつきで制作に入ることが多いですね。

――制作の所要時間、制作過程を教えてください。

【秋田さん】正確には時間を測定したことはありません。制作は1ヵ月に1個程度ですが、一般的な大きさのもので、仕事から帰ってきてから1〜2時間、休みの時に4時間程度で、トータルして実際の制作時間は、1作品12時間程度ではないでしょうか?

 制作過程も説明が難しくて、作りたいものの画像をiPhoneとにらめっこしながら、頭の中で情報を整理する時間が1〜2時間、結構この過程が重要なんだと最近思っています。あとは、そのイメージをもとにハサミ・カッターで切り出していきます。設計図は作成していませんので、情報整理した自身のイメージを手掛かりに、あとは切ったり、折ったり、貼り付けたりしながら“カタチ”にしていくだけです。制作の中でできた偶然の曲面、皺をそのまま大事にしながら仕上げていくって感じですかね。

――普段は会社員をしているとのことですが、制作との両立は大変では?

【秋田さん】両立は問題ありせん。毎日するわけではなく、自分の制作スイッチが入った時にしているので。「〇〇したい」と思えていることが、一番のモチベーションです。

■SNS公開と新聞掲載が転機に、予想外に「アートとして好意的に見てくれた」


――ダンボールで作るアートの魅力とは?

【秋田さん】ダンボールが、私たちの生活の中に溶け込んでいる日常的な素材であることです。その素材を非日常的なものに変化できる、その可能性があるところに魅力を感じています。生活感あふれるダンボールが、一種のアートと呼ばれるもにの変わる喜び、「○○なのに××なの?」「ダンボールなのに土偶」みたいなギャップを生むことにも大きな魅力があります。

――最近は一般の方が自作のアートをSNSで公開し、話題になる機会も増えています。ご自身でも手応えを感じますか?

【秋田さん】僕自身、このような機会を得ることができたのは、Twitter(アキタ屋@Ram_akita)を始めてからです。始めたのは実は昨年からなんですが、様々な方とのつながりができたことは、以前のような日常生活だけでは無理だったと思います。正直、自分がこのような趣味を持っていることは、他人にはひた隠しにしていました。いわゆるオタク、ネクラのイメージを持たれるのでは? と勝手に思い込んでいたからです。新聞に掲載され、見知らぬ人や知り合いに、この作品たちと僕自身が知られることで、その不安がよみがえったりもしました。でも実はそんなことはまったくなく、皆さんがこの趣味をアートとして好意的に見てくれて、理解してくれたことはうれしかったですし、予想外でした。

 賛否両論あるSNSであることは承知していますが、すべてにおいて絶対正義・悪はないと思っています。一人ひとりの活用方法と、それを証明できるもの(僕の場合はダンボールの作品)があれば自信を持てること、人の共感を得ることがでできることを学びました。また、共通の趣味を持つ方との出会いによって、作品の技術だけではなく、ものづくりに対する思いや、ビジョンを学べることも大きな収穫だと思います。

――これから作りたい作品テーマ、挑戦したい活動は?

【秋田さん】作品が評価されたことは本当に嬉しく思っています。しかし、まだまだ自分の作品らしさ、ブランディングが確立されていないところが課題だと思っています。一目で、「これはアキタ屋の作品だ!」と思ってもらえるような技術、作風ができるよう、日々チャレンジしていくことが重要なんだと思っています。



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