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「判断力の大切さ痛感」 大震災経験した宮城の女将が講演

 東日本大震災で被災しながらも避難してきた住民らを受け入れた宮城県南三陸町の「ホテル観洋」の女将・阿部憲子さん(55)の講演会が8日、和歌山県白浜町の白浜温泉旅館協同組合事務所であった。壮絶な日々や被災後に取り組んだことを紹介し「マニュアルだけでは十分ではない。自分自身や現場の判断力の大切さを痛感した」と振り返った。

 同組合と町が主催した「観光防災講演会」で、組合に加盟する宿泊施設の従業員や町職員ら約70人が耳を傾けた。

 ホテル観洋は、地震による津波で2階まで浸水。水道や電気は絶たれ、道路も寸断して孤立した。震災当日には、宿泊客やスタッフ、避難してきた住民の約350人がホテルにいた。阿部さんは宿泊客らに理解を求めつつ、スタッフには「心を強く持って」と何度も話したという。

 宿泊客のチェックアウトは震災後1週間で完了したが、立場の違う人たちのホテルでの「共同生活」は長く続いた。復旧には電気が約1カ月、水道は4カ月近くかかった。阿部さんは大変だった日々を振り返りつつ「ホテルは衣食住のうち『食』と『住』には強みがある」とも語った。

 また、当時小学1年生だったおいが下校中に震災に遭い、自身の判断で帰宅せずに学校へ戻ったというエピソードを紹介し「自分の命を自分で守った小学生もいる。家族で話し合うことも必要」と訴えた。「痛い目に遭わないと分からないというのが実感。体験談を聞いておくだけでも役立つことはあるはず」とも話した。


写真【宿泊施設の従業員らに東日本大震災の経験を話す阿部憲子さん(8日、和歌山県白浜町で)】

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