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上富田町制60周年 「今後も住みたい」まちに

 紀南の市町村で唯一、人口が増え続けている上富田町が町制施行60周年を迎えた。これを機に「今後も住みたい」まちづくりを進めてもらいたい。

 現在の上富田町は、1958年に旧上富田町と旧富田川町が合併して発足。合併当時の人口は約1万人だったが、この60年で約5500人増えた。

 これだけ人口が増えた要因の一つが立地の良さ。大辺路街道と中辺路街道の分岐点に位置するため古くから「口熊野」といわれ、現在も交通の便が良い。津波被害の心配もほとんどない。田辺市街地などと比較して地価も安く、周辺市町からの転入が増えている。

 早くから人口増加策に取り組んだことも大きい。その一つが企業誘致。60年代から梅の飲料水メーカー、アパレル、ベアリングなどの製造業者が進出した。90年代には約6万坪の企業団地を上富田スポーツセンター周辺に造成し、28社に分譲。双方合わせて約700人の雇用が生まれた。

 民間業者とも協力して住環境の整備を進め、住宅団地480戸、宅地造成で1500区画を開発。約8千人分の住宅が確保されているという。

 町の年間予算は約60億円。隣接する白浜町の半分程度である。平成の合併で単独町政を選んだため合併した市町に比べて地方交付税が少なく、合併特例債や過疎債も使えない。そうした事情もあって近年は費用対効果を考えて厳選した施策を進めてきた。

 その一例が「スポーツでまちづくり」。95年に完成した上富田スポーツセンターを生かしたスポーツ合宿の誘致に取り組み、ラグビーやサッカーなどのトップチームが訪れている。総合型地域スポーツクラブ「シーカ」による地域スポーツの振興や住民の健康増進にも力を入れた。

 地方創生の補助金を使った取り組みでは昨年、上富田スポーツセンターにトレーニング施設を開業、スポーツ観光の窓口を一本化する法人も設立した。大人の学びや「熱中小学校」では起業を目指す人材を育てている。

 一方で、財源がないため後回しにしてきた課題も多い。県内の自治体の中でも導入が遅れた小中学校の学校給食は、本年度から始まったばかり。県内で上富田町だけが未実施だった「中学校卒業まで医療費無料化」は、来年度にようやく実現する。

 小中学校のエアコン設置率も0%だったが、来年度に全6校の教室に設置する。学校トイレの洋式化やインフルエンザなど子どもの任意の予防接種に対する補助も他市町に比べて遅れている。

 「住みやすい町、住みたい町」という町の目標達成への道のりはまだまだ続く。その間、事業を取捨選択し、無駄をなくして収入を増やさなければならない。その意味では町が本年度から取り組んでいる事業仕分けに注目したい。

 豊かな自然や歴史遺産などを生かせば未来は開ける。その確信を持った町政を期待する。 (H)


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