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紀伊半島大水害7年 教訓忘れず、備え続けよう

 紀南地方に甚大な被害をもたらした紀伊半島大水害から7年。その教訓はいまに生かされているだろうか。改めて胸に刻み、災害に備えたい。

 2011年8月30日から9月4日にかけ、台風12号の影響で激しい雨が続き、紀伊半島全域に大きな被害が出た。県内だけでも死者・行方不明者61人。全壊家屋367戸、半壊1840戸に上る。

 この災害以降にも各地で記録的な大雨の被害が相次いでいる。7月には平成最悪の被害をもたらした西日本豪雨が発生。8月には紀南地方も台風20号により、河川の氾濫や土砂崩れによる被害が相次いだ。「今年最強」といわれる台風21号の影響も心配だ。

 紀伊半島大水害、西日本豪雨とも、避難の遅れが被害拡大につながった。自治体の避難指示が出ても避難せず、とどまった自宅やその周辺で土砂崩れに巻き込まれるケースが相次いだ。

 まずは地域のハザードマップ(危険予測地図)を確認してほしい。どんな危険があり、避難場所、安全な避難ルートはどこか。事前に把握することだ。

 田辺市ではいま、住民の視線で津波避難の地図を作る取り組みを始めた。これを風水害にも応用したい。マップ作りから関わることで、災害が「わがこと」になる。

 気象情報は精度が高まり、信頼度を増している。インターネットの普及などで、情報を得る手段も多様化した。あとは、情報を理解し、一人一人が主体的に判断できるようになることが重要だ。

 被害者の大半は高齢者である。高齢者や障害者など災害時に支援が必要な人をどのように避難させるかも課題だ。市町村は要支援者の名簿を作ってはいるが、十分に活用できていないケースもある。

 自主防災会の役員や民生委員だけに任せることでもない。命を守る仕組みをどう現場につなぐか。行政と地域が協力して取り組まねばならない。専門家やNPOの力も積極的に借りるべきだろう。

 参考になる取り組みも始まっている。田辺市中辺路町野中では、避難勧告が出る前に、住民が一人暮らしの高齢者を送迎して、早期避難している。高齢者も準備して迎えを待つようになった。これまで被害が出ていないが「空振り」を気にする人はいないという。

 このように、7年前に被害が大きかった地域では、早期避難が習慣化されつつある。8月の台風20号接近の際は、田辺市内で100世帯以上が避難勧告より前に避難所に身を寄せていた。

 障害児や家族を支援する田辺市のNPOは、独自の避難所開設に向けて動きだしている。

 市町村合併や行政改革で自治体職員1人当たりの担当範囲は広がり、きめ細かな対応は難しくなっている。いまこそ、地域の力が必要だ。

 人口減少、少子高齢化が進む中で、まちづくりに関わる「人の交わり」をいかに増やすか。防災について平時から意見を交わし、行動することから始めたい。(K)


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