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働き方改革 身近な工夫を一歩ずつ

 働き方改革という言葉が流行語のようになっている。いかに効率良く働けるか。暮らしや生きがいと両立できるか。人口減少が続く現代社会において、働く方も働かせる側も、そうした課題は避けて通れないからだろう。

 どうすれば働きやすい環境づくりが進むのか。そのヒントとなる事例はあるのか。そう考え、変わろうとする現場を取材。連載「働き方改革最前線」にまとめた。

 新しい働き方の一つとして紹介したのは「テレワーク」。情報通信技術を使うことで場所や時間を問わずに働ける環境を意味する言葉で、近年、大企業を中心に普及し始めている。自宅でも仕事ができるため、子育てや介護との両立にも有効といわれている。

 働く場所という点では、オフィスづくりに社員の意見を取り入れた白浜町の企業「クオリティソフト」が興味深かった。職場環境は開放的な空間で、社員が時には意見を交わし、あるいは1人で集中して仕事に取り組んでいた。

 そこでは「社員が食事の心配をしなくてもいいように」と社員食堂も設けていた。働く人が会社から大事にされていると感じた時、社員はいっそう頑張る。そうしたことまで考慮した施設だった。

 暮らしと仕事の調和が取れる職場づくりを進めているのは、白浜はまゆう病院も同じだった。看護部長の「生活と仕事のバランスを取ることは、本人だけでなく周囲にもプラスに影響する」という言葉に、大きくうなずいた。

 取材で感じたのは、どこも「より働きやすい職場に」という明確な目標があり、できることから始めているということだった。改革といえば大げさだが、現状を見つめ、課題を把握して改善していくことだと考えれば、決して無理な話ではない。

 同時に、いま、なぜ働き方が注目されているのかという現実にも目を向けねばなるまい。それは、長時間労働や過労死、ブラック企業といった言葉が代表するように、労働環境を巡る根深い問題があるからに他ならない。

 紀南の主要産業である農林水産業や観光業には「現場」があり、テレワークのように職場へ行かなくてもよいという考え方は当てはまらない。人手不足や繁忙期の長時間労働も起きやすい。

 しかし、問題をそのまま放置していては、ことは解決しない。常に工夫の余地はないかと考える。それだけでも「働き方改革」は一歩前進といえるのではないか。

 教員がIT関連企業に出向き、民間の働き方からヒントを得ようとする様子も取材した。そこでは自分たちとの違いに驚く教員に、企業の担当者が「(働き方を)変えられない理由を一つずつ消していきませんか」と助言していた。その言葉が印象的だった。

 こうした取り組みを一歩ずつ進めたい。魅力ある職場をつくれば優秀な人材が集まりやすい。仕事に打ち込める環境にもつながる。そこから発想すれば、事態も動き始めるだろう。 (N)

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