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密漁と無断上陸 住民の監視に期待

 豊かな海の自然に恵まれた紀南地方には、夏の観光シーズンを中心に多くの行楽客が訪れる。一方でルールやマナーを守らずトラブルになるケースが増えている。

 とりわけ違反行為が目立つのがみなべ町の森の鼻付近。キャンプやバーベキューに来た人がイセエビなどを密漁したり、もりややすなど禁止漁具で魚を捕ったりする例が後を絶たない。ごみの不法投棄もやっかいな問題だ。今春には、地元の漁業者団体から町議会に「堺地区森の鼻、キャンプ・バーベキュー禁止条例制定を求める請願書」が出された。

 町もこの夏、「監視強化中」と書いた看板を設置し、漁業者や関係者がチラシを配布して啓発に取り組んでいる。さらに監視カメラの設置も検討している。

 森の鼻付近に限らない。県内の沿岸ではさまざまな漁業権が設定されており、紀南地方ではイセエビやアワビ、トコブシ、ヒジキ、ヒロメなどを権利者以外は取ることができない。なのに密漁は後を絶たず、どの漁協も対応に苦慮している。

 白浜町の京都大学瀬戸臨海実験所が管理し、長期の生物調査などをしている無人島「畠島」にも無断上陸が多い。業を煮やして今春からは定期的に「上陸禁止」の新聞広告を出している。

 担当者は「今年はテレビや新聞のニュースに取り上げられたおかげで減ってきたが、お盆期間は何グループかが上陸し、バーベキューをしていた」と残念がる。ただし、新聞広告を出したことで地元には周知でき、理解してくれる人が多くなったと話す。今後も地元に協力してもらいながら見回りや陸からの監視を続けるという。

 吉野熊野国立公園を管轄する環境省田辺自然保護官事務所にも、京大のほか田辺市からは神島への無断上陸、白浜町からは海水浴場への小型船舶乗り入れについての相談が相次いで寄せられた。そこで今夏から関係機関と協力して海で遊ぶ際のルールやマナーを守る呼び掛けを始めた。

 「これまでは横のつながりがなく、情報交換の場をつくりたかった」と自然保護官。環境省が架け橋となり、海上保安部や警察署も参加した取り組みとなった。今後も協力を続けたいという。

 田辺海上保安部の調べでは、密漁はトコブシやイセエビが多く、春先から夏場にかけて増える。魚介類密漁の検挙は2013年が17人だったが14年は28人、15年は29人と急増した。16年は18人、17年は20人に減ったが、今年は7月末までに19人を検挙している。うち3分の1が県外者だった。

 神島や畠島への無断上陸に関する通報も寄せられている。今年、現場で指導した件数は8月20日までに計7件。やはり県外からのレジャー客が多かった。

 こうした状況にどう対処すればよいのか。まずは地域全体でルールとマナーを守る、密漁は許さないという雰囲気をつくることが大切だ。地元の人々が関心を持つことから始めよう。 (Y)


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