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後絶たない違反ごみ 環境保全は「わがこと」

 田辺市のごみ収集の様子を取材し、収集日や分別ルールを守らない「違反ごみ」への対応に苦慮する現場の姿を目の当たりにした。

 可燃物と資源物がごちゃ混ぜになっているごみ袋、弁当殻が突っ込まれたレジ袋―。市職員のパトロールに同行し、集積所に捨てられた違反ごみの多さに驚いた。

 ごみ処理場内のリサイクル施設では、作業員がプラスチックごみに紛れ込んだ異物の除去に苦労していた。使い古しのカミソリや使用済みのインスリン注射器などもあり、けがの危険と隣り合わせの作業に胸が痛んだ。

 市内でもとりわけ違反が目立つのがJR紀伊田辺駅に近く、200店以上が軒を並べる飲食街「味光路」だ。地元4町内会でつくる「駅前美化推進協議会」が清掃や啓発活動に取り組んでおり、以前に比べると改善されたそうだが、観光客が行き交う通り沿いに違反ごみが並ぶ光景は見苦しい。

 市はごみ収集の際、明らかに違反ごみだと分かる場合は、収集できない理由や日付を書き込んだ注意シールを袋に貼り付け、原則として2週間をめどに集積所に置いたままにしている。

 廃棄物処理課によると、今年4、5月の2カ月間に注意シールを貼ったのは市内全域で915件。うち2週間後に違反ごみとして回収したのは約1割で、多くの場合は本人が持ち帰って再度出し直しているという。

 しかし、味光路周辺は違反ごみをそのまま放置しておくと景観を損ねる上、悪臭を放つなど衛生上の問題もある。そのため、やむを得ず市職員がほぼ毎日、巡回して集めている。

 田辺駅周辺はいま、国のモデル地区に指定され、世界遺産の闘鶏神社を中心とした景観まちづくり事業が進んでいる。市街地を訪れる観光客は年間約100万人。味光路で海や山の幸を堪能する外国人の姿も珍しくなくなった。

 だが、せっかく街並みを整備し、おいしい料理を提供しても、違反ごみの廃棄が後を絶たないようでは興ざめだ。

 観光面への影響だけではない。ごみの分別が徹底されなければ、本来は資源として活用できるものがリサイクルに回せなくなり、埋め立て量が増える。同市元町にある最終処分場は満杯の状態が近づき、市は2017年度から多額の費用を掛けて埋め立てごみの処理を一部、県外に委託している。

 21年には新しい広域の最終処分場の供用が始まる予定だが、現在のごみ排出量から考えるとそれも15年間で満杯になる。できるだけ長く利用するためにも、ごみ出しのルールを守ることは不可欠だ。

 全国的には、指導に従わない違反者に罰金を科すなど、踏み込んだ対策に乗り出している自治体もある。モラルに訴えるだけでは状況が改善されない場合、そういった仕組みも選択肢の一つだろう。

 まちの景観や自然環境をどう守り、未来に受け継ぐか。そこで暮らす市民が「わがこと」と考え、行動することが大切だ。 (H)


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