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梅産業の未来 地域挙げて対策を

 紀南特産の梅が収穫シーズン本番。主力の「南高梅」は青梅に続き、梅干し用にする熟した梅の収穫が先週から始まった。今後は塩漬け作業も並行して続く。梅雨が明けると天日干しも始まる。

 今季の収穫量は、平年並みと見込まれる。この3年間、不作が続き、とりわけ昨年は「近年にない凶作」という農家もあっただけに、まずは一安心だろう。

 気掛かりなのは価格だが、5月27日から出始めた青梅は今季も高値。秀品の市場価格は、JA紀州が2012年に次ぐ高値だった昨年並み、JA紀南も昨年に近い価格となっている。

 熟した梅はほとんど梅干し用になる。それを塩漬けして干した梅は「白干し梅」と呼ばれ、大半の農家が取り組んでいる。2年前には不作と梅干し人気の高まりで、それまで3年間続いていた過剰在庫が解消され、一気に価格が上がった。昨年はさらにアップし、A級2L、3Lサイズ10キロ入りで9千円(税別)。近年では最高の12年並みの価格となった。

 「白干し梅」は加工業者に販売され、それが味付けされて商品となる。農家らは「あまりに高くなれば客離れにつながる」と心配しつつ高値を期待する。梅産業を維持するためには、販売価格の維持が不可欠と見るからだ。

 県内の梅生産量は1980年代から右肩上がり。夏バテ防止や疲労回復などさまざまな効能が伝えられるのと比例して人気を呼び、価格が高くなった。

 しかし、2000年以降は長く価格が低迷。その影響で、梅を栽培する農家も減った。農林業センサスによると、県全体では05年に6577戸だった梅の販売農家数は、15年には5087戸に。将来が見通せないと廃業する農家が増えているからだという。

 後継者が不足する一方で高齢化も深刻。古木の改植に加え、近年はシカやイノシシなど野生動物からの被害防止対策などもあって作業量が増え、高齢者だけでは手に負えなくなりつつある。

 収穫の繁忙期となるこの時季、アルバイトの確保にも苦労が増えた。かつては別の作物を栽培する農家や他の自営業者に手伝ってもらうことが多かったが、近年では少なくなった。そうした人たちが高齢化し、それに代わる若手が見つけにくくなったからという。個々の農家任せでは、先細りは避けられない状況になっているのだ。

 この地の主産業である梅を栽培する人たちの暮らしが立たないままでは加工、販売業者も未来が描けない。商店や飲食店を含めた地域経済にも深刻な影響を及ぼす。

 そうした現状に、地域としてどう対応するか。栽培農家だけでなく、行政や農協を中心に、地域として梅栽培という基幹産業の応援に取り組まなければならない。加工や販売業者など関連する業界の応援、協力も欠かせない。

 「世界農業遺産」にも認定された梅の産地を次世代に引き継ぐために、地域こぞっての努力と協力が求められる。 (Y)


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