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田辺市の新庁舎 最新技術で防災拠点に

 田辺市が市役所庁舎の移転新築計画を進めている。建設費は約115億円。市にとっては過去最大規模の建築事業である。大災害にも耐え、復興の拠点として使える施設としてもらいたい。

 現在の本庁舎と市民総合センターはともに、南海トラフ巨大地震の津波浸水想定域にあり、どちらも築後約50年で、耐震能力も不足している。一方で、政府の調査委員会は、30年以内に南海トラフ沿いで巨大地震が起こる確率は「70〜80%」と公表している。

 そこで市は庁舎を移転、新築して、新たな防災拠点とすることを決めた。その候補地として昨年3月、海抜18・5〜27・5メートルの高台にある東山1丁目の「オークワ オーシティ田辺店・紀伊田辺シティプラザホテル」の敷地を選び、8月にはオークワ(本社・和歌山市)と用地取得に向けた基本協定を交わし、今年3月、売買契約に向けて確認書を交わした。

 構想では、6階建て(延べ床面積1万5500平方メートル)の庁舎とする方針で現在、基本計画作りを進めている。そこでは、どんな庁舎を目指すかという基本理念や庁舎の機能、構造などを盛り込む。そこに市民の意見を反映させるワークショップ(体験型講座)も開催中で「利用しやすい庁舎」「市民参加によるまちづくりの拠点」「田辺のシンボルとしての庁舎」などをテーマに、参加者が意見を出し合っている。

 具体的な計画の策定は、技術提案型のプロポーザル方式で落札した東畑建築事務所(大阪市)が進めている。市によると、6月には基本計画の素案を公表。7月にパブリックコメント(公衆の意見)を募集し、9月に基本計画を確定する。続いて2年半かけて基本設計と実施設計を作成。3年がかりで建設し、6年後に供用を開始したいとしている。

 こうした計画を市民はどう受け止めているのか。市が2年前、移転計画を進めるに当たって実施した市民アンケートでは、回答者約1400人の6割以上が重視する内容として「防災拠点機能」を挙げた。「今後の整備を考える際に重視する項目」という質問にも「津波、洪水による浸水からの安全性」の回答が8割を超えた。災害からの安全性を重視し、防災拠点としての機能を持った庁舎を望んでいるといってよい。

 近隣の各自治体は、東日本大震災以降、庁舎の高台移転や建て直しを進めている。昨年春、印南町は高台に移転、新宮市も耐震不足の旧庁舎を免震構造に建て替えた。串本町やすさみ町なども対策に乗り出している。

 田辺市もまた、新庁舎建設に当たっては大震災の教訓を生かし、最先端の技術を導入して最大限の耐震性を確保してもらいたい。数多くの耐震施設を建て、高度な技術、知見を有する業者の知恵を生かしてもらいたい。

 今後とも計画や整備に関する情報をこまやかに公開し、市民の理解を得ることも重要だ。ことは田辺市百年の計である。 (N)


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