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住宅の耐震化 みんなの命守るために

 政府の地震調査委員会は、南海トラフ(東海沖―九州沖)沿いで今年1月1日から30年以内にマグニチュード8〜9級の巨大地震が起こる確率について「70〜80%」とした。昨年の「70%程度」よりもさらに切迫しており、数字上はあした起こっても何の不思議もない状況だ。

 それに対する備えはできているか。できることとできないことはあっても、最低限、命を守る手立てだけでも万全に近づけておかねばならない。

 重視すべきことの一つが住宅の耐震化だ。1995年の阪神大震災では、6千人以上の生命が失われたが、そのほとんどが建物や家具の倒壊によるものだった。地震後にまとめられた資料では、新しい耐震基準ができる前の1981年以前にできた住宅では約3割が「大破・倒壊・崩壊」したが、82年以降に建てられた住宅では約1割だった。つまり、私たちは20年以上前の阪神大震災で、建物を耐震化することや家具の固定によって、自身を助ける可能性が広がることを学んでいるのである。

 県はこの教訓を生かすため、改めて本年度から住宅耐震化の促進に取り組む。まずは国の新制度を活用し、市町村と協力して設計と工事費用の補助を強化する。国と合わせた1件当たり最高補助額は116万6千円になる。

 従来の制度と違うのは、条件によって設計、工事が負担無しで実施できる場合があることだ。

 もともと、木造住宅の耐震診断は全額補助しており、耐震診断から補強設計、改修工事まで負担ゼロで済む可能性もある。もし、診断で耐震性が不足しているとされても、県委託の建築士に工事内容や費用について無料で相談できる制度も備えている。申し込むハードルは大幅に下がるはずだ。

 県は全市町村での新制度導入を目指し、田辺市や上富田町、白浜町などはすでに制度をスタートさせている。

 ここまで補助を強化するのは、耐震化が進んでいないからだ。県は住宅耐震率の目標を2020年度に95%、26年度に100%としている。だが、15年度時点では約38万4千戸のうち、耐震性があるのは75%。残り約9万5千戸は耐震性が確認されていない。県の補助制度を利用して改修工事した件数も、17年度までの13年間の合計で約1700戸に過ぎない。

 しびれを切らした県は、市町村などと戸別訪問をスタート、直接耐震化や補助制度の活用を訴えている。住宅の耐震化は困難という人には、数年前から耐震ベッドや耐震シェルターの設置支援もしている。それに加えての本年度からの補助強化である。

 いま、県が改めて耐震化に力を入れるのは命に関わるからだ。いざという時、家が壊れて逃げられないと避難もその先もない。だからこそ住民も、自分や家族の命を守ることを最優先に考えなければならない。そのための施策である。今度は住民側が真剣に受け止め、対策を練る番だ。 (K)


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