AGARAKiiLifeみかんKiiSearch

県人口3割減の衝撃 急がれる対策、発想の転換も

 国立社会保障・人口問題研究所から2045年の推計人口が発表された。県人口は68万8千人となり、15年に比べて3割近く減る。人口減少社会にどう向き合い、対処すればよいのか。

 県の人口は1985年の108万7千人をピークに減少に転じている。直近の国勢調査(15年)では96万3579人。戦後間もない頃と同程度だ。

 68万8千人まで減れば、国勢調査が始まった1920(大正9)年の75万人を下回り、明治時代にまで逆戻りすることになる。

 紀南で減少率が大きいのは、すさみ町の59・1%。古座川町や北山村、串本町も半減する。

 高齢化も進む。15年に30・9%だった65歳以上の割合は39・8%に、75歳以上の割合も15・6%から23・8%に跳ね上がる。

 75歳以上の割合が最も高くなると推定されるのは古座川町(44・7%)、続いてすさみ町(44・3%)。人口の半数近くを後期高齢者が占めることになる。

 県や市町村にとっては大変な問題だ。県は3年前、このまま何も対策を講じなければ、60年に50万人程度になり、高齢者1人を現役世代1人で支える人口形態になることを公表している。

 県は、これをせめて2人で1人を支える形態にしよう、60年には70万人を確保したいという「長期人口ビジョン」と、それを実現させる「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定。15年度からの5年間の計画で雇用創出や転出超過数の減少、出生率向上などの施策を進めている。

 田辺市も60年に5万4382人を確保する目標を立て、15年度から、5カ年計画で「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に取り組んでいる。移住者や交流人口の増大を柱に5年間で新規就業者数300人、出生者数3千人を確保するのが目標という。

 しかし今回の発表では、45年の人口は4万8493人、減少率は35%と推計された。市企画広報課は「厳しい数値。将来を担う人材の育成と若者の地域回帰につながる取り組みを進めたい」と話す。

 県内市町村はいま、申し合わせたように働く場の拡大や結婚や出産、子育てをしやすい環境づくりに取り組んでいる。しかし、こうした発想だけで課題の解決につながるのか。発想の転換も必要だ。

 例えば、超高齢化社会を逆手に高齢者の経験や知恵を生かす方向を探ってはどうか。再々雇用や細切れの時間でも働ける仕組みをつくるのだ。それができたら高齢者もまちに出る。地域も輝く。

 子育て中の女性を積極的に登用する手だても考えたい。各職場が人材の使い方を見直せば、人手不足への対策にもなるし、住みよい地域にもなるはずだ。

 生き方や働き方についての発想を転換し、地域を見つめ直そう。地域の未来は、行政だけでは開けない。住民一人一人が生き生きと働き、まちに出る場面をつくっていくために、早急に議論を興し、広げていきたい。 (N)


更新)