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買い物弱者対策 多様な視点で具体化を

 地域の高齢化、過疎化の進行に伴って日常の買い物が困難な人が増えている。

 日常生活に必要な物品を商う店があっても、住む人が減ると採算が取れなくなって店は閉店する。売り手側が高齢化で店を継続できない場合もある。

 市街地やその周辺に出れば商品は手に入るが、公共交通が整備されておらず、車の運転ができないと、たちまち買い物ができなくなる。田辺市では、中心市街地や郊外でも問題が表面化している。

 近年は、インターネット通販が普及しているが、高齢者にはなじみが薄く、利用は少ない。自分で商品を見ながら選びたいという声も多いという。

 そうした「買い物弱者」を支援する民間事業者の取り組みが紀南でも広がっている。地元のスーパーなどが生鮮品や惣菜、日用品を車両に積み込んで販売する「移動スーパー」がその一つ。

 しかし、運転手の確保や車両の購入費など、多くの課題があるという。移動販売車の場合、車の購入や改造費などで数百万円かかるとされ、採算が取りにくい。

 実際、総務省の調査では、買い物弱者対策の移動販売や宅配といった事業の約7割が実質的な赤字になっている。対象地域は広がっても、購買人口が減って、売り上げが伸びていないからだ。

 にもかかわらず、買い物弱者に対する行政の反応は鈍い。国では明確な所管府省がないし、県内の市町村でも目立った対応をしているところは少ない。 

 一方、他県では移動販売車購入の初期費用の一部を補助したり、移動販売車を貸し出している自治体がある。広島県神石高原町は、限界集落を支援するため、町出資の運営会社がコンビニ大手とフランチャイズ契約を結び、町内の道の駅に店舗を開設した。ここを起点に地元事業者が運行する2台の移動販売車が2地区を巡回、高齢者の買い物支援と同時に、住民の安否確認もしている。

 紀南には、地元に強力なネットワークを持つ農協のスーパーなどがある。そこと連携して新たな取り組みを構築すればどうか。

 一方、三重県紀宝町の社会福祉協議会は週に2回、2便ずつ無料で買い物支援バスを運行。自宅前から町内のスーパーやホームセンターに送迎している。

 この仕組みを応用できないか。例えば、商店街がバスの運行に関わり、買い物客を呼び込むのだ。空き店舗を活用した催しなどとセットにすれば、街もにぎわう。

 こうした事例からも分かるように、買い物弱者の支援には商工や交通、福祉など地域のさまざまな分野の視点が必要である。行政や関係機関、住民が連携し、採算性も含めて、継続できる手法を探ってもらいたい。

 田辺市では、社会課題をビジネスの手法で解決しようと、人材育成事業「たなべ未来創造塾」を開いている。そこに参加している人たちからアイデアを募るのも一つの手法だろう。 (K)


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