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増える外国人観光客 受け入れ側の役割が重要

 熊野古道を訪れる外国人観光客が増え、受け入れ窓口の「田辺市熊野ツーリズムビューロー」が売り上げを伸ばしている。2016年度の売上高は3億円を突破し、利用客の7割を外国人が占めた。

 この勢いを地域の活性化にどうつなぐか、持続可能な観光地づくりにどう生かすか。ビューローの挑戦を振り返りながら考えたい。

 ビューローは、06年に広域的な観光振興を図る目的で市内5観光協会が設立。10年に第2種旅行業に登録して「着地型旅行業」に乗り出し、熊野を巡る旅の提案や宿泊先の予約・決済までこなすサイトを運営している。

 観光で訪日する外国人の目的地は東京や京都、大阪に集中し、田辺市はルートから外れている。しかし、04年の世界遺産登録時に年間1千人台だった市内での外国人宿泊客は、14年の1万人から16年には3万人超に増えた。

 要因の一つがビューローの戦略である。歴史や自然崇拝など、独特の魅力を持つ巡礼地としての熊野古道の情報を、聖地の巡礼に関心の高い欧米やオーストラリアの人たちに絞って発信した。

 狙い通り、16年度の予約サイト利用者は1位がオーストラリア、2位がアメリカ、3位フランス、4位イギリス、5位スペイン。アジアからの観光客の多い大阪などとは異なる客層を確保した。

 迎える側の意識改革にも取り組んだ。中心になったのがカナダ出身のプロモーション事業部長、ブラッド・トウルさん(42)だ。外国人の視点を取り入れて、訪日客の不便の解消を図った。

 まずは案内看板や店のメニュー表に英語表記を導入。「熊野本宮大社」だけで19通りもあった英語表記も統一した。受け入れ側のレベルアップを図るため、宿泊、交通関係者から神社の神職まで、外国人観光客に対応する課題について議論を重ね、意識を高めた。

 転機となったのは10年に着地型旅行業に乗り出したこと。旅行者が直接、宿やガイドの手配を予約できるシステムを構築し、地元に直接利益が入る仕組みにした。

 こうした取り組みで、大きなリュックを背負った外国人が続々と訪れるようになった。

 それを地域経済活性化にどうつなげるか。まずは、世界遺産保全の視点が求められる。

 熊野古道は道だけではなく、周囲を取り巻く山や川、温泉や田園の景観と、人々の暮らしが織りなす「文化的景観」が認められて世界遺産となった。

 その原点に立てば、景観保全がそのまま魅力アップにつながる。現在、不足気味といわれる宿泊施設も、その視点で考えたい。「例えば空き家を活用したゲストハウスなど、必要に応じて地域が宿泊客を迎えてくれる環境が整えば」とビューローは期待している。

 訪れる側は地域の「光」を体感し、受け入れる側は常に資源を磨いて「観せる」努力を続ける。持続可能な観光地づくりが、そのまま地域を元気にするのだ。受け入れ側の役割は大きい。(K)


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