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田辺のまちゼミ 根気よく信頼関係を

 田辺市で開かれている「まちゼミ」が定着してきた。商店主らが講師になって知識や技術を教え、受講者との交流を通じて店と商店街のファンを増やす取り組みである。参加店舗では新規顧客も生まれ、効果が出始めている。

 田辺市の商店街では、大型商業施設やインターネット販売に押されて苦戦する店が多い。市の市民意識調査でも8割が「商店街ににぎわいがない」と回答した。

 経済産業省の調べでは、市の中心市街地の商品販売額は1994年の209億円から、2004年に113億円、14年には36億円に減った。この20年で8割の減少である。逆に商店街の空き店舗は111店(15年度)となり、この10年間で倍増した。

 どうすれば商店街に活気を取り戻せるのか。イベントによる人集めで自動的に物が売れるのか。まずは、そこから考えてみよう。

 消費者はいま、チェーン店やネット販売に慣れ、初めての店やなじみの薄い店へは敷居が高い。勇気を出して店に顔を出しても、自分が欲しい物が見つからなかったら、どう振る舞えばよいのか戸惑う人もいる。

 そういう現状を直視することから「まちゼミ」が始まった。まずは講座のタイトルで受講生を呼び込む。「薬・サプリメントの何それ」「プロがしたようなメークが自分でできる講座」「プロ直伝!手作り生チョコ講座」……。

 開催場所は講師の店内。受講生は予約した2〜10人に限り、講座は約1時間程度。販売や勧誘はご法度だが、店側は店の専門性や特色をアピールでき、お客さんの声を直接聞ける関係をつくれる。

 受講生にとっては、自分の興味のある知識を無料で得られるし、時には悩みも解決できる。初めての店でもなじみになれる。

 商店街としても、街全体のイメージアップになる。店の活性化が点から線、線から面へ広がり、地域のにぎわいにつながる。そういうイメージで進めている。

 今年2月のまちゼミ受講者アンケートによると「受講が初来店」の回答が56・1%。「受講以前から店を知っていた」は65・0%。講座の評価は「大満足」または「満足」が97・9%。大半が満足しており、それは2回目以上の参加者が52・8%という回答にも表れており、こうしてつかんだファンが新たな顧客になっている。

 それでも、商店街の現実は厳しい。商店街・専門店の利用は「月に1〜2回」が45・7%、「ほとんど利用がない」も36・1%。一方で「ほぼ毎日」は1・8%しかいなかった。

 まちゼミの提唱者、松井洋一郎さん(愛知県)は「一気に客や売り上げが増える事業ではないが、どんな店もお客さまに喜んでもらいたい気持ちがあるはず。根気よく継続することで、信頼関係をつくっていけば、必ず将来の客づくりに結び付く」と話す。

 商店街だけではない。この関係は農産物の直販などにも当てはまるのではないか。 (K)


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