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田辺市議選 激戦を改革の好機に

 今春の田辺市議選(定数22)は激戦になりそうだ。紀伊民報の調べでは立候補を表明したり、検討したりしているのは10日現在で28人。新顔の活動も活発になっている。

 人口減が進み、自治体経営の厳しさが増す中、自治の一翼を担う市議会の役割は重い。住民にとって、最も身近な政治家として、行政機構を監視し、行政側の立案した政策を住民の視点に立って点検する義務を負っている。政策に足りない点があれば修正し、問題のあるものは否決する。これができるかどうかが議会運営活性化の分かれ目になる。

 市議会はどうだろうか。2005年の市町村合併から昨年の12月定例議会まで、市長が提案した議案はすべて原案通り可決している。一方、報酬や定数削減など議会に関係したものを除き、議員提案で制定した政策的な条例は「梅酒で乾杯条例」1件しかない。

 市議選の投票率も低下し続けている。合併初年は78・51%。うち旧4町村はいずれも市平均を10ポイント近く上回り、龍神村は90・70%に達していた。だが、次の09年は市全体で71・02%となり、前回13年は65・77%。龍神村と本宮町は80%台を維持したが、90%近かった中辺路町が73・90%、大塔も73・19%まで落ち込んだ。

 投票率の低下にはさまざまな要因が考えられる。定数が05年の30から改選のたびに26、22へと削減されたこと、旧町村ごとの選挙区がなくなったことに加えて、議会と議員の活動に対する不信感が根底にあるのではないか。

 もちろん市議会も改革に取り組んでいる。本会議はインターネットで録画配信し、定例会のある月は再生回数が増えている。一般質問の方式も一括質問一括答弁だけだったのを、分割質問や一問一答方式との併用性を導入。議場も質問議員と答弁する当局側が向き合う対面式に変えた。

 しかし、市民との関係については、まだまだ改良の余地がある。まずは議会という公開の場で市当局と議員が活発な議論を交わし、問題の所在を市民に明らかにすることが求められる。市民の要望や提言をくんで当局に突き付け、課題解決の糸口を探ることも大きな役割だ。

 幸い、会員制交流サイト(SNS)などの普及で市民が議員に意見を届けることも容易になっている。その声を課題解決に反映させるのが議員本来の姿である。市民の要望を整理し、議会質問などを通じて実現への道筋を切り開くこと、その活動についての説明や報告を有権者に還元することが大切である。そうした活動を通じて議会や議員への信頼が増し、市政の活性化につながっていく。

 そういう循環を生み出す一つのスタートが今回の市議選である。その意味では、若さあふれる新顔を含め、多くの候補者が立ちそうな選挙に期待が高まる。

 選ぶ側の意識改革を含めた活発な選挙で、議会の在り方を変えていくきっかけとしたい。 (K)



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