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森づくり税延長 広く「木の国」守る意識を

 県は、県議会12月定例会に「紀の国森づくり税」を5年間延長する条例改正案を提案している。

 この税は2007年度、森林環境の保全などに活用する目的で5年間の時限措置でスタート。個人県民税に1人当たり年額500円を、法人県民税には千円〜4万円を上乗せして徴収。年間約2億6千万円の税収を基金に積み立て、森づくりに資する県の事業や公募事業に活用している。

 07年度からの5年間に公募事業に296件の申請があり、285件が採択された。最初の延長となった12年度から本年度まで5年間には、138件の申請があり、植樹や木工教室、間伐体験など129件の事業を採択。うち125件が実施されている。

 森づくり税は、05年12月議会に議員提案で上程され、自民党県議団などの賛成で成立。しかし、当時「県民の理解や議論が不十分」などとして、反対や慎重論があったほか、市町村議会からも賛否の意見が上がり、議論を呼んだ。

 公募事業の採択や実施にあたっても問題が起きた。例えば12年、紀伊民報の報道を機に、当時の田辺市議が関与する巨額の不正受給事件が発覚。県は翌年度から申請条件を厳格化し、補助対象の苗木に上限本数を設定したり、複数団体の協力事業について、経理が実質的に同じなら1事業としたりして不正防止に努めた。

 しかし、森づくり税の認知度は低いままだ。県が昨秋、無作為に選んだ4千の個人・事業所を対象にした調査で「初めて知った」と答えた人は67・7%。前回10年度調査の57・6%より10ポイントも高くなっていた。逆に「知っていた」は11・2%(前回調査では17・4%)、「聞いたことがある」は21・1%(同25・0%)。

 100人のうち11人にしか知られていない税金とはどういうことか。県は広報紙やホームページ、ポスター、ラジオなどで広報してきたというが、その効果が全く出ていない状況である。

 幸い森づくり条例そのものについては、延長に「賛成」が44・3%、「どちらかというと賛成」が30・2%あり、逆に「反対」は1・9%、「どちらかというと反対」は1・4%だった。森づくりの必要性を認める層が大半を占めるというのは心強い。この支持を生かしたい。

 和歌山県では県土の8割近くを森林が占める。そこから産出される紀州材は評価が高く、林業は長く県の主産業だった。しかし、昨今は輸入材に推されて採算性が悪化。後継者も育たず、荒廃する森林も多い。

 それを食い止め、健全な森林を維持しよう、水源を保全し、国土の荒廃を防ごうとして導入されたのがこの税である。県民から広く負担を求めようという条例の趣旨もそこにある。

 この条例を生かし、県も県議会も森林再生への関心を高め、事業に全力を注がなければならない。豊かな森林を次世代に引き継ぐのは私たちの義務である。(K)



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