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田辺市職員逮捕 緩んだたがを締め直せ

 田辺市の女性職員が公務で担当している生活保護費を着服した疑いで逮捕された。逮捕容疑は受給者の転居に必要な敷金の書類を書き換えて市から20万円をだまし取った事案だが、市の調査では多額の余罪が明らかになっている。

 市によると、女性職員は2011年4月、ケースワーカーとして生活保護業務を担う福祉課に配属され、15年1月末までの間に80世帯の手続きで約700万円の不適切な処理をした疑いがある。

 そのうち、市営住宅使用料や水道料などを生活保護費から天引きしながら市に納めなかったり、受給者には不要な引っ越し代を名目に金を引き出したりしていた25世帯の220万7336円分について、市は不正と認定。市の調査に対して、女性職員も「生活のために使った。借金があった」と話しているという。

 本当に保護を必要とする人にとって「最後の安全網」である生活保護制度を、市職員が悪用して私腹を肥やしていたのである。衝撃は大きい。県警の捜査に協力し、全容を解明するとともに、再発防止の策を講じてもらいたい。

 女性職員は昨年1月に生活保護費の不適切な事務処理が発覚し、停職1カ月の懲戒処分を受けた。受給者から預かった現金を職場の金庫に放置していたことが問題となったのだ。なのに市は「勤務態度が良好だった」などとして調査を尽くさず、不正を見つけ出すことができなかった。当時の記者発表でも「私的流用はなかった」としていた。

 だが、処分の公表から1カ月もたたないうちに、仕事を引き継いだ複数の職員が女性職員の不自然な事務処理に気付いた。慌てた市は再調査チームを設置し、10〜14年度の生活保護費の入出金を全て調査し、約700万円の疑わしい支出を見つけた。

 あまりにもでたらめな金銭処理であり、調査である。当の職場だけでなく、役所としての自浄作用が働いていなかったのだろう。

 振り返れば今回の問題だけではない。今年だけでも首をかしげる事態がたびたび起こっている。

 例えば、国立公園に指定されている天神崎に塗料の空き缶が大量に不法投棄された事案。天神崎の自然を大切にする会から対処を求められたのに何の対応もしなかった。大量の流木が打ち上げられた時にも当初の対応が悪く、県が動き始めてようやく腰を上げた。

 7月の参院選では投票結果を誤って集計し、県選管に報告した。世界遺産の追加登録候補地で樹木の不法伐採が起きたときの紀伊民報の取材に、幹部が伐採許可申請が出ていないのに出ていると虚偽の説明をしたこともあった。

 数え上げれば、市政の怠慢、思い上がりを証明する材料はいくらでもある。そのとどめが今回の金銭詐取事件である。

 事案の再発防止のためにも、庁内に抱えた病根を徹底的に洗い出し、市長が先頭に立ってたがを締め直す必要がある。それができてこそ、信頼も回復する。 (K)



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