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「落とした現金、拾った現金」

 昨年、県内で拾得され警察に届けられた現金が1億4千万円余、と本紙が伝えていた。地味な扱いだったから、拾得物は届けるのが当然ということだろう。外国ではあり得ないことで、日本人の道義レベルの高さを示す一例だ▼以前、私は横浜で18万円入りの財布を落としたことがある。翌朝、警察に届けがあった。拾い主は東北から出稼ぎに来た人というが「当然のことをしたまで」と謝礼を固辞された。それでは財布が戻らない規則らしく、署長のあっせんで社会施設への寄付で決着した。知人の英国人記者に話したら「日本では日雇い労働者も誇りを失わない」という大きな記事になった▼お金を拾ったこともある。ニューヨークの中央駅で誰かが1ドル札を10枚ほど落とした。だが、落とし主が見当たらない。「あんたもか。お互い良い日だね」と背後から声がかかる。「届けようか」というと「そんなバカな。駅員か警官がポッポするだけだ」と笑う▼念のために警察に電話で聞いた。「誰か分からないなら、あんたのもの」とそっけない。その限度額を聞くと、前代未聞の質問だったのか「さあ」というだけだった▼その頃、娘の友人の米国人親子が拾ったお金でスーツを買いに行ったと聞いた。「公衆電話に置き忘れた硬貨でも、日本では誰もネコババしない」と驚いた記事が出たこともある。すぐに届ける国民と拾い得を許容する国民。文化の差は大きい。(倫)


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