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「貴重になった砂浜」

 砂浜が減り、ウミガメにとって産卵が厳しい状況になってきているそうだ。みなべ町で紀伊半島ウミガメシンポジウムがあり、そんな報告が相次いだという記事が本紙に掲載された▼砂浜の砂は常に同じ場所にあるわけではない。白浜町の白良浜を見ていると、季節によって砂が堆積する場所が異なり、浜の中を循環していることが分かる。台風が襲来すると沖の砂が浜に打ち上げられたり、沖へ持ち去られたりする。波や風の作用で、砂は常に移動しているが、やがてほぼ元の状態に戻る▼浜がやせたり、消滅したりするのは、陸や川からの砂の供給が十分でなくなったり、止まったりするためとみられている。シンポジウムでは、新宮市の王子ケ浜や白浜町の志原海岸で砂浜が浸食されたり、細かい砂が減ったりしていると報告された▼報告者によると、幾つもの要因が重なった結果と推測され、近くに構造物ができたことによる影響も考えられるようだ。その結果、県内の砂浜で今も自然がよく残っているのは、みなべ町の千里の浜だけという▼海に突き出た紀伊半島には、かつて砂浜が至る所にあり、ウミガメももっと身近な存在だったのだろう。今も多くのウミガメが上陸する千里の浜には、その原風景が残っているということだ▼陸からの砂の供給が止まった白良浜では人工砂を入れて補ったが、どこでもできる事業ではない。残った原風景を大切にしたい。(沖)


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