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「無子高齢化」

 外国人労働者の入国をどう扱うかを巡って、国会が紛糾している。政府は衆議院を強行突破。舞台を参議院に移して「出入国管理法改正案」の成立を急いでいるが、その急ぎ方は異様だ▼労働力不足にあえぐ経済界の圧力を受け、積極的に対応しているのだろう。しかし、社会の在り方を根本的に変える法案にもかかわらず、本質的な議論を避けている。技能実習制度の抜け穴、外国人の医療問題など、課題は山ほどある▼外国人から見た日本の魅力ランキングは、先進国中で最低に近いという。優れた外国人を求める法案がずさんで不透明だ、とメディアも一致して反対している▼なぜこれほど少子化が進んだか、という点も注視したい。2017年の出生は95万人、死亡は134万人。長年、こうした傾向が続いたのだから、人手不足は当然だ。90年代のバブル崩壊で企業は人件費を削り、正規採用を減らした。それで企業は生き残ったが、若い世代の集団は甚大な影響を受けた▼甲南大学の前田正子教授は「あの時代から、若者は安定した職と収入を得られず、結婚、出産はぜいたく品になった」と指摘する。以降、少子化は一層進み、日本は前田教授の言う「無子高齢化」の道を直進した▼若者を犠牲にした社会は、将来に手痛いつけを払わされる。政治は常に目先の利害に動かされない配慮が肝要だ。果たして今の国会論議に、その視点がどこまであるのか。(倫)

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