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「死して朽ちず」

 先日、白浜町で開かれた小泉純一郎元首相の講演会の関連で、もう一つ書き残しておきたいことがある。メインの反原発の話が終わりにさしかかったころに取り上げられた佐藤一斎(1772〜1859)の言葉である▼一斎は江戸後期の儒学者であり「少(わか)くして学べば即ち壮にしてなすこと有り。壮にして学べば即ち老いて衰えず。老にして学べば即ち死して朽ちず」という言葉がよく知られている。郷里の岐阜県にはその言葉を刻んだ碑があり、たしか小泉氏もその碑を訪れられたと記憶している▼氏は、当日の会場に高齢者の姿が多かったことから、講演の最後、即興でこの話を持ち出されたのだろう。とくに「老にして学べば即ち死して朽ちず」という部分を強調して会場から大きな拍手を浴びていた▼僕も週末に担当している大学の授業が始まるたびにこの言葉を紹介し、学び続けることの大切さを説いている。強調する部分は「少くして学べば即ち壮にしてなすこと有り」だ。同時に「老にして学べば即ち死して朽ちず」の部分も紹介し、死んでも名が残るような生き方をしようではないかと呼び掛けている▼どんなに頑健な人でも、寿命が尽きれば死ぬ。しかし、その人の言葉は残る。その言葉が残された人たちを励まし、生きる支えとなれば、そんなに幸せなことはない。そういって、孫のような受講生に学びの大切さを説き続けているのである。(石)


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