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「時代に遅れよな」

 大学生を相手に授業をするのは楽しい。彼らがどういうことに関心を持ち、どんな考え方をしているかが彼らの書いた文章から伝わってくるからだ▼先日の授業では、朝日新聞に掲載されている鷲田清一さんのコラム「折々のことば」から数点を切り抜き、そこから気に入った言葉を選んで、思うところをつづってもらった▼一番多く取り上げられたのは「わずかのことがわれわれを悲しませるので、わずかのことがわれわれを慰める」というフランスの思想家、パスカルの言葉。コミック作家、宮原るいさんの「大人になっても○(マル)を付けてもらいたいときがあるの」にも関心が高かった▼いじめや不登校、部活と受験勉強との両立など、なにかと難しい中学、高校時代を過ごしてきた学生ならではの反応だったが、意外だったのは「とことん時代に遅れ続けよな、言うてんです」という言葉に関心を示す学生が多かったこと。帆布を使ったかばんを手作りしている京都の老舗の社長、一澤信三郎さんの言葉だが、流行に敏感な学生たちが「時代遅れ」に共感していることに驚いた▼いまは新しいことに価値があり、企業も働く人もそれに流されて目先の利益を追うのに忙しい。しかし、それだけではむなしくないか。時代を超えて生き続けるものの価値を認め、そこから新しい発想を探ろうというのだ▼そういう考え方をする学生が少なくないことに意を強くした。(石)


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