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「モノクロ写真の世界」

 田辺市本宮町の世界遺産熊野本宮館で写真展「サンティアゴ巡礼道」が開かれ、熊野古道とスペインのサンティアゴ巡礼道を撮影した写真家、ルイス・オカニャさん(1959〜2010)の作品35点が展示されている。写真はすべてモノクロ。サンティアゴ大聖堂や沿道の自然が精緻なトーンで描写されている▼会場ではオカニャさんの写真集「サモス 巡礼の精神」が配布されていた。スペインのガリシア州政府が2008年に発刊したもので、こちらも白と黒で表現した重厚な作品だ▼サンティアゴ巡礼道と熊野古道の姉妹道提携を記念した写真集に「マグナムフォト 熊野古道 サンティアゴへの道」(1999年)がある。世界最高の写真家集団といわれるマグナムに所属する4人が撮り下ろした。その一人、エリオット・アーウィットさんの作品も全て白黒である▼オカニャさんは写真集の序文で「写真とは、それが映し出している映像そのものではなく、それを見る人が自分の見たいものをその中に見つけることができるもの。サモス修道院の写真は、見る人によってそれぞれ違った世界が発見できるでしょうし、自由に解釈していただきたい」と記している▼情報量が少ないように思われる白黒写真が、むしろ見る者の想像力を膨らませる。スマートフォンでカラー写真が手軽に撮れる時代でも、白黒でなければ表現できない世界があることを教えてくれる。(長)


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