AGARAKiiLifeみかんKiiSearch

「『故郷への便り』に寄せて」

 週末の本紙に掲載される「故郷への便り」は読み応えがある。南紀人材交流センターのお世話で、郷土にゆかりの著名人に無償で執筆していただいているが、毎回のように刺激を受ける▼最近では元千葉大教授、原田久也さんの食糧資源としての大豆の話が興味深かった。その前の住友病院院長、松澤佑次さんの「超高齢化社会と健康長寿」にも触発され、直後に本紙の社説「論」でも取り上げた▼お二人の間に挟まれた形で掲載した元城西大教授、村岡亘さんの「有期雇用と企業の未来」という論考にも、共感するところが多かった。氏はそこで目先の利益を最優先にした「成果主義」、即戦力でその場をしのぐ「有期雇用」の弊害に警鐘を鳴らし、じっくりと腰を落ち着けて仕事ができる環境づくりの大切さを説いている▼言われてみればその通りである。終身雇用が常識だった時代は、働く人の多くは「この会社で骨をうずめる」という意識が強く、経営者側もそれに報いた。知恵のある者は知恵を出せ、知恵のない者は汗をかけ、という言葉も素直に受け入れられた。それが日本の科学技術を発達させ、画期的な製品を次々と生み出した▼未来が描けるから汗がかける。農業でも林業、漁業でも同じである。逆に、それが見えにくくなって地方の衰退が始まった。人口が減り、雇用の場が細っていった。愛郷精神は廃れ、明日を語る人も少なくなった▼切ない話である。 (石)


更新)