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「刈り取られた貴婦人」

 「貴婦人」に例えられるキイジョウロウホトトギス。紀伊半島固有の植物であるこの花を自宅で少しずつ増やしている。元気に育っているのは約40株。茎は30〜60センチに伸びているが、葉は柔らかく、すぐに毛虫がつくので目が離せない。気付かずにいると葉を食べ尽くされ、茎だけの無残な姿にされてしまう.


▼たちが悪いのがガの幼虫だ。茎に潜り込んで髄を食べるので、根元からぽっきり折れてしまう。ひどい年には数十本も食い荒らされ、大きな株がいくつも枯れてしまった.


▼虫の害を乗り切っても、真夏の日差しが強く当たると葉が焼けるし、雨が少なければ毎日の水やりが欠かせない。手が掛かるだけに、秋に咲く黄色い花は一段と美しい.


▼自生しているものは少なく、植栽したものが見られるのも熊野那智大社や田辺市本宮町の伏拝王子、古座川町の一枚岩周辺、すさみ町の山間部などに限られる.


▼ところが先日、伏拝王子の石垣に植えられていた数十本が周辺の草とともに刈り取られてしまった。王子前で休憩所を運営しているスタッフは「大きく育っていたので、まさか刈られるとは思っていなかった」と残念がる.


▼古道周辺の環境整備では、過去にも同じような行き違いが起きている。作業員への情報提供や事前の打ち合わせはもちろん、動植物や文化財についての講習も必要だろう。「貴婦人」の犠牲を無駄にしないよう、再発防止の工夫をしてほしい。 (長)


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