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「寄付というバトン」

 新聞を読んでいると、時に胸に迫る記事に出合う。先日の朝日新聞にあった「寄付5億円 学ぶ若者へ」という記事もそうだった。

 ▼記事によると、寄付をしたのは福岡市に住む80歳の会社経営者。高校時代、家が貧しくて進学を諦めた九州大学に「学生の支援に役立てて」と5億1600万円を寄せた。高校の恩師から九大への進学を何度も勧められたが、家庭が貧しく、泣く泣く諦めたことが動機になったという。

 ▼この経営者は働きながら独学。30代半ばに静電気を使ったコピー機関連の特許をアメリカで取得し、後に福岡市で印刷会社を創業して財を成した。「死んで財産を残すより、若い人に使ってもらった方がお金が生きる」と考えたそうだ。

 ▼記事を読みながら、紀南でもよく似た話を聞いたことを思い出した。公益財団法人脇村奨学会(田辺市)への寄付である。業務執行理事の矢倉甚兵衛さんによると、この数年間に3人の元奨学生から「学生時代の恩返しを」と寄付の申し入れがあり、受け入れたという。

 ▼奨学金を受けた側は何年たってもその恩を忘れず、次世代のために寄付をする。寄付というバトンをつないで次の世代を支えようというのである。60年以上も苦学生を支援し続けている組織も立派だが、その志を次の世代に引き継ぐためにまとまった額を寄せる苦学生も素晴らしい。

 ▼こういうバトンをつないでいけば、この社会も住みやすくなると思った。 (石)


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