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「三代目」

 「売り家と唐様で書く三代目」という川柳がある。先祖が苦労してつくり上げた財産を、遊び人の三代目が売り払う羽目になった。その売り札は中国風のしゃれた書体だ、と皮肉っている。

 ▼北朝鮮の三代目支配者・金正恩委員長が世界の耳目を集めている。国家経営も家業も、三代目の立場は難しい。うまくいけば先代、先々代のおかげと言われるし、失敗すると当人に能力がないと言われる。

 ▼創業者、金日成は旧支配者の日本に武力で抗したことを看板に、権謀術数の限りを尽くして金王朝をつくり上げた。二代目の金正日は、経済難と自然災害で餓死者200万人を出したが「自分は即初代」という一体性の強調で、父親のカリスマ性継承に成功した。

 ▼若くて実績のない三代目の金正恩氏はどうか。祖父や父との一体性を確立しようと、髪形まで祖父をまねたし、全国に祖父と父の銅像をあふれさせた。

 ▼しかし、ライバルの粛清には手段を選ばず、兄も叔父も殺した。今、妹の金与正氏は実力ナンバー2だが、男系世襲の伝統から安心した上での登用だろう。

 ▼韓国との首脳会談を成功させ、後はトランプ米大統領との交渉だ。本気とも見えるが、祖父や父の遺訓として最優先で手にした核を本当に手放せるのか。

 ▼開かれた普通の国に近づくことは、国民を抑圧してきた重しが取れることでもある。その根本的な矛盾にどう対応していくか。盤石の三代目へ道は厳しい。 (倫)


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