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「分かち合う社会」

 田辺市出身の根岸浩章さん(26)は、青年海外協力隊員として南太平洋のサモアに赴任し、小学校で算数と体育を教えている。先日は本紙「私の異文化体験」欄に興味深い話を寄せてくれた。

 ▼そこではサモア人の「シェア(分かち合い、与え合い)の文化」について(1)子どもが2人で1本の鉛筆を貸し借りして使う(2)消しゴムも同様。ノートを破って分けることもある(3)同僚の先生もまた自分の分がなくなるほど昼ご飯を分けてくれる、などと紹介していた。

 ▼お金も同様だ。ホームステイ先の親子6人は、国外で働く2人の子の送金で暮らしている。これもシェアの文化であり、人々が心豊かに暮らしているのも、こうした文化があるからという。

 ▼同様の話は宗教人類学者の植島啓司さんも『きみと地球を幸せにする方法』(集英社インターナショナル)で紹介。「ものを持つことは人を喜ばせもするが、ユーウツにもさせる」「人生の満足度を7点満点で計ると、アメリカの大富豪たちの平均は5・8。アフリカのマサイ族は5・4。望むものは何でも手に入る人と貧しい半遊牧民の差は0・4ポイントしかない」と説明。所有と幸せは直結しないと述べている。

 ▼紀南にも、つい最近まではこの文化が根付いていた。忙しい時は助け合い、お裾分けやお土産は近隣に配って喜びを共にした。人間関係が希薄になる時代。分かち合い、与え合いの文化に、もっと光を当ててはどうか。 (石)


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