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「奇絶峡の風穴」

 昨日、田辺市の奇絶峡近くにある風穴を探訪した。案内は上秋津愛郷会の役員ら。参加者は環境省の自然保護官や地元選出の議員、ジオガイドの人たちだ。

 ▼奇絶峡の赤い橋から少し下流の県道沿いから三星山の方向に急な山道を登る。わずかに人の踏み跡があるだけの道だから、気を抜けば方向を見失う。案内役が不可欠だ。

 ▼先導者に遅れないように登り続けて約30分。巨岩が覆いかぶさるようになった風穴に到着。案内の人が立木に結び付けてくれたロープを伝って中に入る。入り口は極端に狭いが、中は一度に10人以上が入れるほど広い。

 ▼ひんやりした風が通る。真夏でも涼しいという。大正時代、上秋津村は郡内一の養蚕地であり、地元の農家がここを冷暗所を好む蚕種(さんしゅ)の保存場所に利用、後にはミカンの貯蔵所にしていたという説明に納得する。同時に、ここまで産物を運んで管理していた人たちの苦労がしのばれる。

 ▼蚕種貯蔵所に使われた風穴は多く、1917(大正6)年には国内に222カ所あったそうだ。その一つ、群馬県の荒船風穴は「富岡製糸場と絹産業遺産」として世界遺産にも認定されている。

 ▼ならば、この風穴も地域の産業遺産。すぐ近くには大正から昭和にかけて電力を供給していた水力発電所の水路跡も残されている。双方をセットにして地域の産業遺産としてアピールしていけばどうか。愛郷心を育むきっかけにもなるはずだ。 (石)



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