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「頌徳碑」

 世界遺産に登録された闘鶏神社の参道左手に大きな石碑がある。高さは台座を含めて約3・5メートル。正面に脇村友三翁頌徳碑と刻まれている。

 ▼これは江戸末期、田辺領主から田辺町の大年寄に登用されて行政を預かる傍ら、私財を投じてまちの子どもたちの教育に尽くした脇村友三翁(1813〜79)をたたえる碑である。敷地は約190平方メートル。そこに先日、碑の説明板が設置された。「明治25(1892)年、教育者たる翁の生前の功績を称え、多くの市民によりこの地に建立される」との言葉が日本語と英語で書かれている。

 ▼翁が教育に尽くした功績の一端は「田辺町誌」にも次のように記されている。「市中の少年児童に読書算術を奨励し(中略)学術を試験し自費を以て優等者を賞す。之がために修学するを得し者千名を下らずといふ」。

 ▼この志を継いで孫の市太郎氏が1957年、私財を投じて脇村奨学会を設立。その子や孫が遺志を継ぎ、現在まで約310人の学生に給付型の奨学金を支給し続けてきた。そのルーツが友三翁の活動であり、魂を育てる教育の重要性を説いているのがこの碑である。

 ▼いま、企業も個人も自らの利益を追うのに忙しく、社会、公共のために資産を投じる人は少ない。そういう時代だからこそ、教育に使命感を持ち、そこに喜びを見つけた翁と、その功績を語り継ぐために寄付を募って、市民が建立したこの碑が物語ることは大きい。 (石)



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