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「ネコマンマ」

 先の本欄で、材料が安く簡単に作れておいしい「コスパ飯」について書いた。その例に私の好きな「卵かけご飯」を挙げたら、読者からいくつか反響があった。

 ▼白浜町のAさんは「夏は何といっても冷やしたオカイさん」という。「かつおぶしにしょうゆ、熱々のご飯」と言った人もいた。「ああ、ネコマンマか」。これも昔は確かにおいしかった。

 ▼タレントの黒柳徹子さんは、生前の永六輔さんとの60年の交遊で、1回だけ食事をおごってもらった。それが鹿児島の「ネギ飯」。白米に刻みネギを乗せ、ラーメンの汁をかけるだけ。不満の黒柳さんに永さんは「これが一番うまい」。

 ▼食物を含めて西欧文明に心酔していた福沢諭吉が、幕末に2度目の訪米を終えて帰国した時、どうしても食べたい日本食に「ワサビ添え花かつおぶし飯」を挙げている。美食家として知られる陶芸家、北大路魯山人は世界漫遊の後「フランス料理なんか材料の持ち味を殺しているから駄目。料理は素材を生かす日本食が世界一」と語った。

 ▼だが、そこは凝り性の日本人。本来はネコマンマのかつおぶしなのに、4回以上カビ付けをし、それを何年も寝かせて熟成させる本枯れかつおぶしを使ったりした。作家の小島政二郎は、削り器のカンナにもこだわった。

 ▼今は小袋に分けた削り節が出回り、文字通り「コスパ飯」になった。しかし、ぜいたくに慣れたネコは、見向きもしないかも。 (倫)



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