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「赤いヒガンバナ」

 先日の本紙に掲載された富田川河川敷のヒガンバナは見事だった。地元の方たちが6年前に植えたそうだが、あのように咲き誇っているとは知らなかった。同僚が撮影した写真に引かれて早起きし、カメラを携えて車を走らせた。

 ▼夜明け前のヒガンバナはどろんと沈んだ赤い色をしていた。三脚にカメラをセットして日の出を待つ。うっすらと朝焼けが広がり、静かな時間が過ぎていく。正面の山から日が差したのは、日の出の時刻を30分余り過ぎてからだった。

 ▼秋の日差しが一気に降り注ぎ、ヒガンバナの色が赤から朱色に変わった。くるくる丸まった花びらに精気が吹き込まれ、いまにも踊りだすかのように輝く。こちらもじっとしてはいられない。三脚からカメラを取り外し、構図を変えながら夢中でシャッターを切った。

 ▼それにしても律義な花だと思う。桜の開花時期は年によって1〜2週間も前後するが、ヒガンバナは間違うことなく秋の彼岸に咲く。あぜや土手のそこかしこに前触れもなくにょきにょきと茎を伸ばし、競うようにペン先のようなつぼみを押し開く。

 ▼その仲間には白や黄色の花もあり、清らかな姿が目を引く。わが家でも十数年前に植えた数本の株がずいぶん増えて見頃を迎えた。《曼珠沙華一むら燃えて秋陽つよしそこ過ぎてゐるしづかなる径 木下利玄》。燃えるような赤い花が、深まる秋の静寂と同居する。ヒガンバナはやはり赤がいい。 (長)



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