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「EPAと紀州林業」

 先日開かれた日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)で、大枠合意した品目の中に直交集成板(CLT)が含まれた。関税(3・9%)を段階的に引き下げ、8年目に撤廃するという。

 ▼CLTとは、繊維方向が直交するように板を張り合わせた積層材。建築の構造材や土木用材に使われる。日本CLT協会(東京)によると、欧州で発達し、20年以上になる。日本では昨年4月に関連の建築基準法告示が公布・施行され、ようやく一般利用が始まった。

 ▼木造でありながら高層建築が可能。林野庁も、その技術向上や普及促進の推進を林業再興戦略の一つに挙げ、期待のほどを示していた。

 ▼協会加盟社によると、欧州では既に価格競争の段階にある。輸入が本格化すると、関連業界への影響は避けられない。県内林業関係者の間でも「低質材の低価格化に拍車を掛けるかもしれない」と心配する声がある。

 ▼低質材を活用するCLTや木質バイオマス発電の普及など、林業を取り巻く環境はいま大きく変化している。そうした中、紀州林業の存続に何が必要かと問い直す動きがある。年輪が詰まり、美しくて強度が高い紀州材が受け入れられ、林業は維持されてきた。今は苦境にあるが、本筋での活路を開くのが先決という話である。

 ▼その通りだと思う。優れた建築材の販路の創造と低質材活用の効果。双方の特徴を生かそうとする業界や行政の取り組みを注視したい。 (沖)



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