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「アメダスがない」

 7日、台風5号が和歌山県に上陸し、県内各地は強い風と激しい雨に見舞われた。田辺市の川湯温泉では大塔川が氾濫。JR紀勢線の特急は朝から運休、停電も各地で相次いだ。

 ▼紀南の10カ所に設けられた気象庁の無人観測システム「アメダス」によると、7日の1時間当たり最高雨量は西川55・5ミリ、新宮49・0ミリ、龍神43・0ミリ、潮岬42・5ミリ。積算雨量は龍神で289ミリを観測、県内最高だった。

 ▼こうした情報を調べながら、あらためて不思議に思ったのは、田辺の市街地にアメダスがないこと。紀南で一番多くの人が住んでいる土地の観測データが収集できないとは、どういうことだろう。

 ▼局地的な災害は年々増えている。2011年の紀伊半島大水害では、田辺市も大きな被害に見舞われた。だが、それに備えたデータ収集システムは、1974年以来、ほとんど変わっていない。これは行政の怠慢ではないか。

 ▼「天災は忘れた頃にやってくる」という言葉を残した物理学者寺田寅彦は、関東大震災から数年後に書いた随筆で「人間は何度同じ災害に会っても、決して利口にならぬ者であることは歴史が証明する」「昔の為政者の中には、まじめに百年後のことを心配した者もあったようだが、いまは政治家も実業家も民衆も十年後の日本でさえ問題にしない」と嘆いている。

 ▼地震や台風は防げないとしても、観測体制を充実させることは可能だ。一考を求めたい。(石)



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