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「大賀ハス」

 上富田町岡、田中神社の隣にあるハス田で、大賀ハスが見頃を迎えている。広さは約13アール。淡いピンクの花が次々に咲き、8月上旬まで楽しめるという。まだ露の残る早朝の時間帯がいい。

 ▼大賀ハスは、植物学者の大賀一郎博士が1951年に千葉県の検見川遺跡で発掘した種から育った。「古代ハス」として全国に広がり、県内では美浜町の大賀池でも栽培されている。

 ▼上富田町では30年余り前に民俗研究家の故樫山茂樹さんが植えた。樫山さんの父嘉一さんは博物学者南方熊楠の菌類や植物採集に協力した「熊楠菌類四天王」の一人で、大賀博士と親交があったという。

 ▼樫山さんが健在だったころには、一人で黙々とハス田を手入れされる姿を何度か見掛けた。熊楠に関係した取材で自宅におじゃました際にはハスの種を分けていただいたが、残念ながら発芽させることができなかった。

 ▼98年には地元に「大賀ハスを守る会」が発足し、高齢の樫山さんからハス田の管理を引き継いだ。花の時季は見学者が多く、町は今年コンクリート製の遊歩道を整備。足元を気にせずハスの花が観賞できるようになった。一方で近年、ハス以外の植物が増えてきたことが気になる。田辺市本宮町の「ふけ田」のように、観察路を設置したことで湿地の生物の成育状況が変わった例もあるから心配だ。

 ▼2千年の時を越えた大賀ハスが美しい花を咲かせ続ける環境を保ってほしい。 (長)



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