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「コウノトリの復活」

 半世紀に及ぶ新聞記者生活で書いた記事は数え切れない。けれども、それが全文、英字新聞に転載された記憶は少ない。その一つが2004年2月29日朝日新聞に掲載された「コウノトリ再び舞うか」である。「環境ルネサンス」という全ページ特集の1回目で、広く英語圏に発信された。

 ▼そこでは、兵庫県豊岡市の山あいで行政と地域住民が協力してコウノトリ増殖の試みを続けてきたこと、それによって国内で絶滅していたこの鳥が106羽まで増え、野生に戻す準備が具体化したことなどを紹介。コウノトリが大空を舞う日は人間と自然が共生する環境がよみがえる日と結んでいる。

 ▼それから13年。野生復帰の取り組みは軌道に乗り、いまや野外での生息数が100羽を超える見通しになった。繁殖地も増え、豊岡市以外に千葉県や福井県でも放鳥事業が始まっているそうだ。

 ▼1971年、国内で野生コウノトリ消滅。85年、ロシアから幼鳥6羽を譲り受け、89年、初めてのひな誕生。2002年に飼育中の鳥が100羽を超え、05年、初の試験放鳥成功……。そんな軌跡をたどると、そのまま日本の自然環境保全活動の歴史になる。

 ▼それは官民が協力して河川の浄化、農薬使用の制限、里山保全などの活動を続けてきた成果である。やればできる。紀南の地でホタルの舞う環境や自然林の再生、海藻を育て豊かな海を取り戻す活動などに励む人たちへの応援にもなるはずだ。(石)



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