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「新種の桜」

 紀伊半島の自然に詳しい人たちから「南部に変わった桜がある」という話を聞いたのは10年余り前のこと。その桜が先日、新種の可能性がある「クマノザクラ」として発表された。

 ▼日本に生育する桜の野生種は9種類。そのうち紀伊半島南部にはヤマザクラ、カスミザクラ、エドヒガンの3種が自生する。新種と確認されれば、国内では100年ぶりのことというから楽しみだ。

 ▼この発表を聞いて、紀伊半島の森林でフィールドワークを続け、昆虫を通して自然の多様性を語った生物学者後藤伸さんを思い出した。紀伊半島南部には、寒冷地に生息する昆虫が近畿北部より多いなど多様性、特異性がある。後藤さんは、動植物の分布を温度の違いから考える生物界の常識に対して、雨が多い紀伊半島では「水の視点」から考えなければいけないと異を唱えた。そのような豊かな自然が固有の桜を育んできたのだろう。

 ▼クマノザクラが多く自生しているのは古座川町や串本町、田辺市の安川渓谷、奈良県十津川村、三重県熊野市など。それ以外にもっと広く分布している可能性があり、調査をしている森林総合研究所や県林業試験場は広く情報提供を求めている。

 ▼遠くからでも分かる鮮やかなピンク色の花と、花の時期に葉が出ていないことがヤマザクラとの大きな違いという。この週末は、今が盛りのソメイヨシノを楽しむのもそこそこに、夢のある桜を探し歩くのもいい。(長)



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