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「貧困とエンゲル係数」

 最近、エンゲル係数が脚光を浴びている。家計の消費支出に占める食料費の割合を示す数値で、高いほど家計は苦しいとされる。

 ▼戦後の混乱期には、家計に占める食料費の割合が高く、国の統計ではずっと50%を超えていた。しかし、経済が成長軌道に乗り、賃金も上昇するようになるとともにこの数字は低下。東海道新幹線が開通し、東京五輪が開かれた1964年前後に40%を切り、バブル経済が頂点に達した90年初頭からはずっと25%を下回っていた。

 ▼ところが、総務省の家計調査によると、2016年は25・8%に急伸、29年ぶりの高水準になった。家計が苦しくなってきたことを反映しているのか、それとも社会の様相が変わってきたのか。

 ▼30年ほど前と比べ、根本的に異なっていることが二つある。一つは弁当など調理済みの食品が手軽に買えるようになったこと、もう一つはペットボトル入りの水や飲料を買って飲む習慣が普及したことである。

 ▼こうした食文化の変化が家計に占める食費の割合を押し上げているという見方がある。一方で、エンゲル係数の上昇は、貧困層が増えていることの表れという意見も根強い。食文化が変わっても、所得が低くなればなるほど食料費の負担が大きくなる構図は変わらないからだ。

 ▼「衣食足りて礼節を知る」という言葉がある。この社会の安定を目指すならば、食費の占める割合が逆流し始めたことに特段の注意が必要だろう。 (石)



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