AGARAKiiLifeみかんKiiSearch

「熊楠と科学の未来」

 博物学者・南方熊楠の生誕150周年を記念したシンポジウム「宇宙大の熊楠」が先日、東京・駿河台の明治大学で開かれた。昨年、南方熊楠賞を受賞した宗教学者中沢新一さんと占星術研究家鏡リュウジさんが基調講演するとあって、400人の定員に800人の応募があったほど盛況だった。

 ▼同じく生誕150年に合わせて19日には、白浜町に南方熊楠記念館の新館が開館する。熊楠の生家である酒造会社、世界一統(和歌山市)は記念の日本酒を発売した。

 ▼生まれて150年、なぜ彼が注目され続けるのか。源泉の一つは「知の巨人」といわれる膨大な業績にあるだろう。熊楠が手掛けた民俗学や自然科学の研究は、各分野の専門家が総掛かりで探求に当たっても、いまだに全容が解明されていない。

 ▼熊楠が活躍した19世紀末から20世紀初頭には、古い博物学と近代科学がせめぎ合っていた。「熊楠はいずれの分野でも優れた業績を残しながら、近代科学の手法に疑問を抱いていた」と中沢さんは指摘する。例えば熊楠は「やりあて」という表現で、直感や正夢のような現象も確信していた。

 ▼「熊楠の思想には近代科学の限界を突き破るヒントがある」と中沢さん。人工知能(AI)が急速に発展、計算や学習によって世の中が形作られようとしている状況で、直感に代表される人間の潜在的な能力や思考が未来を開く可能性はどこまであるのだろう。興味は尽きない。 (長)



更新)