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「雪国の暮らし」

 西日本の日本海側で大雪が続いている。鳥取市や兵庫県豊岡市では積雪量が80センチを超えたそうだ。そのニュースを聞いて、昔、山形県有数の豪雪地帯で2度の冬を過ごした時の記憶がよみがえった。

 ▼任地は山形市から北へ車で1時間余りの村山市。後に国民的な人気を呼んだNHKの連続ドラマ「おしん」の郷里に設定された尾花沢市の銀山温泉も管内にあり、山間部では3メートル前後の雪が普通に積もった。比較的雪の少ない通信局付近でも朝は50センチ、取材を終えて帰れば、さらに20センチほど積み上がっている日があった。

 ▼そんな暮らしでも、土地の人たちは動じない。仕事が終われば長靴を履いてボウリング場に出掛け、根雪が固まるのを待って雪上運動会を開いた。働き盛りの男性は大半が都会へ出稼ぎに出ており、留守を預かる女性とお年寄り、子どもが中心の運動会だが、みんな弁当持参で楽しんでいた。

 ▼大雪が降ってもそれを恨まず、身をすくめてやり過ごす。助け合い、励まし合って生きていく。「大雪の年は、米の出来が良い」と信じて春を待つ。実際、雪解けが始まり、最上川に雪の塊が大量に流れ出す季節になると「生きててよかった」と思えるほどの青空が広がった。

 ▼自然環境がどんなに理不尽であっても、それと折り合いを付け、いつか来る春を信じて暮らす知恵と忍耐力。我慢強い人々の生き方から、僕は多くのことを学ばせてもらった。45年も前の話である。 (石)



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