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「雑煮の文化」

 正月に欠かせない雑煮の文化は、東西で「すまし汁に角餅」と「白みそ仕立てに丸餅」に分かれる。関東出身と関西出身の男女が結婚した場合、最初の正月にどちらの味を取るかは家庭の主導権争いにも例えられるという。

 ▼わが家でも双方の雑煮文化がせめぎ合う。関東出身の私はすまし汁にコマツナ、焦げ目を付けた切り餅の雑煮が正月の味である。毎年、三が日に帰省する実家で味わう。田辺市で生まれ育った妻は白みそに丸餅が欠かせない。こちらは自宅に戻ってから食べる。私は人生の半分を田辺市で過ごしているが、白みそ仕立ての雑煮は苦手。口にしたのは一度きりである。

 ▼餅つかぬ里として知られる田辺市鮎川の小川地区ではサトイモの親芋を煮た料理「ぼうり」で正月を祝う。後醍醐天皇の皇子、大塔宮護良親王が山伏姿で熊野落ちした際に、餅をついていた村人に食糧を求めたところ断られた。後にそれが親王だと分かり、恥じた村人は正月に餅を食べなくなったと伝わる。

 ▼小川地区に限らず、餅のない正月を過ごす風習は全国にあるそうだ。餅の代わりになるのはやはりサトイモが多い。そのほかにそばやダイコン、うどんなどを供する地域もあるという。それらは畑作文化の儀礼食とされ、稲作文化の象徴である餅と対比される。

 ▼2017年の三が日は記憶にないほど暖かく穏やかだった。雑煮の覇権争いは激しくとも、今年が平和な1年であることを願う。 (長)



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