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「覚悟を問う嘆願書」

 先日の本紙に、田辺市中辺路町の近野地区に住む人たちが住民バスの運行を市に要望する嘆願書を出したとの記事があった。

 ▼近野地区は田辺の市街地から本宮町へ通じる国道311号沿いにある山間地。熊野古道が地区内を貫き、近露王子や野中の清水、野中の一方杉など名所も多い。人気の牛馬童子像もある。こうした環境にひかれて最近は都会から若い移住者も増えている。

 ▼だが、1日に6便あった路線バスが2014年に廃止され、極端に交通の便が悪くなった。本宮方面に向かう最終便は紀伊田辺駅発が午後4時40分。これでは高校生は部活動もできないし、学校行事への参加も制限される。せめて、それ以降もバスの便がある栗栖川から近野地区まで住民バスの運行をお願いしたい。そういう趣旨の嘆願だった。

 ▼田辺市はいま、都会から移住者を呼び込む施策を掲げ、盛んにアピールしている。しかし一皮むけば、これが実情だ。地域の公共交通が失われ、買い物や病院通いのお年寄り、通学の高校生が不便を強いられている。

 ▼人口減少を緩和し、健全なふるさとを築こうというのなら、それなりの工夫が必要だ。まずは、車なら1時間もかからない地域なのに通学にも不自由する状態を打開しよう。少々費用がかかってもよい。住民本位の施策を進めてこそ、住みよいふるさと、活力ある地域がつくれる。

 ▼今回の嘆願書は、その踏み絵である。市の本気度が問われている。 (石)



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