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「餅」

 NHKの大河ドラマ『真田丸』の最後を見ながら「織田がつき、羽柴がこねた天下餅、骨を折らずに食うは徳川」という江戸時代の落首を思い出した。戦国時代をこれほど見事にまとめた表現はないが、一方で日本人と餅との深い関係も示す。

 ▼子ども時代、正月三が日は母親の「お雑煮のお餅は幾つにする」という声で起こされた。その餅つきを手伝い、近所の子ども同士で何臼ついたか自慢し合ったのも懐かしい。

 ▼都会では餅つきはとうに家族の手を離れ、公民館などで子どもが参加する行事になっている。だが、今年はノロウイルスの流行で中止が多いのは残念だ。

 ▼正月に雑煮という習慣は各家庭に生き続ける。作り方は千差万別だが、夫婦とも関西出身のわが家は白みそ仕立てだ。餅の形も昔は「四角い東と丸い西」と、東西で差があった。

 ▼「餅はつくこれからうそをつくばかり」という江戸川柳がある。餅つきは欠かせないが、借金取りはうそをついて追っ払えば、正月は迎えられるという庶民のしたたかさを詠む。ハレの日の不可欠の食物という他に「餅は餅屋」「絵に描いた餅」「棚からぼた餅」など、餅は日常表現にもしっかり根付いている。

 ▼餅と高齢者問題も古くて新しい。正月中「餅をのどに詰まらせて死亡」という記事は、新聞紙面でおなじみだ。85%は高齢者で、交通事故死を上回るという。高齢の皆さまには十分心していただき、どうか良いお年を。 (倫)



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